『少年の日の思い出』のエーミール全然悪くなかった説

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あらむ
この記事を書いた人
塾講師15年の経歴を生かし、オンライン家庭教師の法人を設立して活動中です。

こんにちは。オンライン家庭教師のあらむです。

中学1年生の3学期に国語で扱う題材といえば『少年の日の思い出』

中学生視点で見ると長いわ分かりづらいわで学年末テスト最大の 課題ですね!

しかし、内容自体は人間くさいところに溢れていて個人的には好きです。

ところで、塾講師をしていたときに生徒からこんなことを聞きました。

先生、エーミールって全然悪くないよね?
一生懸命標本をつくっていただけなのに、勝手に部屋に入ってきた主人公(=ぼく)にクジャクヤママユを壊された被害者だよ。怒りを必死におさえてさ。
でも、クラスのみんなは主人公側の立場なんだ。

はい、きたぁ!!

そうです。エーミール、全然悪くないと思います!

今回は『少年の日の思い出』をエーミール視点で見てみましょう。

目次

エーミールについて情報を整理しよう!

エーミールの有名なセリフといえばこれですね。

「そうか、そうか、つまりきみはそんなやつなんだな。」

これだけで何十年も教科書に登場し続ける彼、なかなかですね。

エーミールとは何者か

エーミールは、少年時代の「ぼく」の家の近所に住んでいた少年です。

先生の息子で、何でもそつなくこなす模範少年。

標本づくりが趣味で、幼いながらも美しい標本をつくる・蝶のはねの修復もできるスーパーボーイ。

エーミールと「ぼく」の関係

主人公の「ぼく」は、このエーミールの優秀さに嘆賞をおぼえつつ妬みを抱えています。

「悪徳」を持つ存在とまで言います。

たしかに先生の息子でありおうちも裕福で、標本づくりに必要な道具を簡単にそろえられる環境にいると読めます。

成績も優秀。先生である親に教えてもらうこともあるかもしれません。


しかし、この時点で言えることはただひとつ。

エーミール悪いの?「ぼく」が勝手に妬んでるだけじゃないの?

家庭環境の違いって時には残酷

「ぼく」のコムラサキをボロカスにいうシーンを解説

エーミールの性格が悪いといわれる理由が、このシーン。

「ぼく」がコムラサキという蝶をつかまえて標本にし、あまりのうれしさにエーミールに見せたのです。

エーミールは「ぼく」のコムラサキをじっくりと観察し、ズバズバと評価を伝えていきます。

コムラサキは確かに珍しい、でも

・展翅技術(蝶の翅を広げて標本にする技術)が甘い
・蝶の脚がなくなっている
・せいぜい20ペニヒ(激安)

と、ボロカスに評価します。「ぼく」はこの評価に対して、二度と見せるもんかと激怒しています。

コムラサキボロカス事件をエーミール視点で見てみよう

エーミールにとって、標本づくりは【熱心に取り組んでいる収集作業・研究】です。

親はどこの学校の先生か分かりませんが、冒頭にわざわざ書いてあるくらいです。

ある程度威厳のある地位なのだと読み取れます。大学教授の可能性もありますね。

エーミールは幼いながらも、美しい標本を作っていたり、高度な技術を習得しています。

このことからも学者肌なのだと思います。

そんなエーミールに、素人が蝶の標本を見せに行ったらどうなるか。

学会でその道の専門家にボコボコにされた経験がある方は、想像できるのではないかと


「ぼく」はエーミールに「すごいね!」と言われることを期待していたようです。

しかし、学者肌の人間が研究対象に関する事実をビシバシ伝えてくることは想像できたのではないかと。

単なる賞賛で終わっていたら学者とは言えない。

エーミールに言わせれば「遊びじゃないんだよ!」くらいの本気度だと思います。

いよいよ問題のクジャクヤママユ事件を解説

そんな事件からしばらくたったころ、「ぼく」はエーミールに関するうわさを聞きます。

又聞きを思わせる表現から、あの件以来エーミールと距離をとっているのが分かりますね。

エーミールが貴重なクジャクヤママユのマユを手に入れ、さらに羽化させたらしい!

クジャクヤママユはとても珍しい蝶で、「ぼく」も本でしか見たことがないレベル。
蝶の収集家にとっては垂涎レベルの蝶です。

見たい・・・クジャクヤママユを見たい・・・

そんな思いにかられて、「ぼく」がとった行動は

エーミールに頼むわけでもなく


エーミールの自宅に侵入しました。




え?

クライマックスだけどツッコまずにはいられない

「ぼく」の思考どうなってんねん。

先生の家のセキュリティどうなってんねん。

もしかして、カギをかけることを知らず「勝手にご近所さんが家に入ってくる」日本の田舎のような地域なのか?

・・・・・・・・・

まあそんな感じで「ぼく」はエーミールの自宅に侵入し、彼の部屋に入ります。

エーミールは留守で、誰もいませんでした。

そして展翅版の上にあるクジャクヤママユを発見します。

最初は見るだけのつもりだったのに、ここで「ぼく」は誘惑に負けてしまいました。

クジャクヤママユを展翅版から外し、持ち出すのです。

部屋を出たのち、「ぼく」はエーミールの家のお手伝いさんの足音にパニックになり、


クジャクヤママユをポケットに入れました。

ムリだ・・・カブトムシくらい硬い虫でもムリだ・・・
(中1当時の私のツッコミ)

エーミールの方が大人の対応だと思うのですがいかがでしょうか

一度エーミールの自宅から出た「ぼく」は、ここでやっと罪の意識にさいなまれることになります。

引き返してクジャクヤママユを元に戻そうと思ったけれど、ポケットの中のクジャクヤママユはボロボロ。そりゃそうだ。

それでもクジャクヤママユをエーミールの部屋に置いてきました。(心臓強い)

家に帰った「ぼく」は、母に打ち明けます。

母は「ぼく」がエーミールに謝罪と弁償をするべきと伝え、「ぼく」に謝りに行かせます。(お母さんナイス)


一方、エーミール。

家に帰ってきたら、展翅板にのせておいたクジャクヤママユがボロボロの状態。

貴重な蝶をマユから返すという努力が、言葉通り粉々に打ち砕かれてしまいます。

自分の技術をもってしても、クジャクヤママユの修復は不可能でした。

悲しい・・・くやしい。一体なぜ?

そんなときに「ぼく」が来て、事の顛末を話します。

はい?

クジャクヤママユのマユを見つけて、マユから羽化させるのがどれだけ大変だったと思ってんの?

それを自分の欲望に負けて人の家に侵入して盗もうとして、あげくの果てには修復不可能なレベルでボロボロにしたんか?

普通なら怒鳴り散らしますよ。

手が出てもおかしくない。

それでも彼は必死に耐えてこういいます。

舌打ちとともに。

「そうか、そうか、つまり君はそんなやつだったんだな」

『少年の日の思い出』の結末


「ぼく」からは、「ぼく」の蝶のコレクションとおもちゃを全部あげることを賠償として提案されました。

でも、「ぼく」の技術やコレクションの中身、ましてやおもちゃなんてエーミールには価値のないものです。

エーミールはぼくに告げます。

「結構だよ。僕は、君の集めたやつはもう知ってる。 そのうえ、今日また、君がちょうをどんなに取りあつかっているか、ということを見ることができたさ。」

今日また、というのは先に出ていたコムラサキのことですね。足がとれていた標本です。

あの年齢で怒鳴り散らさない、暴力にも任せないでめっちゃ大人だと思いますよ。エーミール。


努力してつかもうとした偉業を、一時の感情に支配された他人によって潰されてしまう。

彼はやっぱり一方的な被害者だと思います。

エーミールに拒絶された「ぼく」は、家に帰って自分のコレクションを全てつぶしてしまいます。

それ以来、蝶の収集はやめた・・・

というのが『少年の日の思い出』の結末です。

結論:エーミールは悪くない

ということで、あらすじを踏まえてエーミールの潔白を書き連ねてきました。

『少年の日の思い出』は「ぼく」目線なので、どうしても主人公の立場で考えがちだと思います。

しかし、エーミールは【一方的に妬まれ、努力の結晶を粉々にされた人物なのだ】ということを感じ取ってもらえたらこの物語の意味がより深まるのではないでしょうか。

様々な立場の人がいる。

そしてその数だけ、感じたり考えていることは違うのです。

教科書だけで
なぜかテストの点数が上がる『少年の日の思い出』対策

塾講師時代、『少年の日の思い出』がテスト範囲になるとやっていたことがあります。

エーミールのセリフどれだけ嫌味に言えるか選手権


生徒みんなの再現度が高かったです(笑)

こうやって登場人物になりきることでテストの点数が上がるから不思議ですね。

ちなみに、「ぼく」は冒頭で「子どもが生まれたから蝶集めを始めたんだよ」と言っている人の友人です!
ここはテストでも出ますのでご注意くださいね。

『少年の日の思い出』をはじめ、教科書内容のテスト対策におすすめ問題集

国語のテスト対策は何をすればいいのか悩みやすいと思います。

そういうときは提出物を終えたあとに『中間・期末の攻略本』を取り入れるのがおすすめです。

基本をおさえ、テストに出やすい問題で演習することができますよ。


ご自分でもっている教科書の出版社を確認して選んでくださいね。

光村図書

教育出版

三省堂

東京書籍

「少年の日の思い出」が懐かしくなった方はこちら

もし懐かしくて読みたくなったら、『少年の日の思い出』が収録された文庫本がおすすめです。

お手軽に買えるのがいいですよね。kindleだとすぐに読めます!

ヘルマン・ヘッセの世界を楽しんでください。

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